請求書の原本は電子化により破棄可能|電子化の方法や注意点、保存が必要な理由も解説

2025年8月28日

こんにちは。請求業務をかんたんにするクラウドサービス「MakeLeaps(メイクリープス)」事務局です。

請求書の原本は一定期間、保存する義務があります。オフィスのスペースが限られている場合は、請求書の保存場所に困るケースもあるでしょう。近年、ペーパーレス化が進み、請求書の原本保存を止めている企業も少なくありません。この記事では、請求書の原本について保存の必要性や破棄する方法、請求書をPDF化する方法などを解説します。ぜひ参考にしてください。

請求書は保存義務がある

請求書は、証憑書類とされています。証憑書類は、請求書のほかに領収書や納品書など取引の事実を証する書類が含まれます。請求書は所得税法や法人税法により保存義務が定められています。

個人事業主では、消費税の納税対象外である場合と消費税納税者である場合で異なります。消費税が免除されている売上の個人事業主の請求書保存期間は5年であり、消費税の納税対象である個人事業主は7年の保存期間が定められています。

法人の場合は7年間が基本ですが、法人税の申告期限日から7年間の保存が義務付けされているため期日を誤らないようにすることが大事です。また、欠損金の繰越控除適用が10年であるため、10年保存することが望ましいといえます。

MakeLeaps クラウド見積・請求・入金管理ソフト 請求業務を、もっとかんたんに。

紙の請求書は原本での保存が原則

請求書は、先に触れたように証憑書類のため、保存にあたってルールが定められています。紙の請求書の保存は、税法で相手先から受け取った原本を保存しなければなりません。ただし、電子帳簿保存法の要件に対応していれば、紙原本である必要性はなくなります。

紙の請求書を原本で保存しなければいけない理由

請求書を原本で保存することが定められているのは、大きく分けて2つの理由があるからです。1つは、改ざんの余地をなくすためであり、もう1つは、不正会計を防ぐためです。

請求書の原本は相手先の押印などにより、改ざんされづらいものになっています。コピーなどの保管により書類が改ざんされ、不正会計が行われないように法で定められているのです。これまでは、このような要因で紙ベースによる原本の保存が奨励されてきました。

請求書の原本を破棄する方法

ペーパーレス化の推進もあり、電子帳簿保存法の要件を満たせば、紙ベースの原本を破棄することも可能です。電子帳簿保存法の定める重要な要件は2つあります。1つめは「真実性の確保」、2つめは「可視性の確保」です

また、電子化された請求書を「電子データ」として保存する場合と、紙の請求書を「スキャンデータ」として保存する場合では、要件が異なります。電子データ、スキャンデータそれぞれにおいて、真実性の確保と可視性の確保を満たす必要があります。

請求書の原本を破棄しペーパーレス化する企業が増えている

ペーパーロジック株式会社が、2024年1月に「ペーパーレス化に伴う2024年度予算」のアンケート調査を公表しています。アンケート調査では、55.1%の企業がペーパーレス化を進めていると回答しました。また、ペーパーレス化を進めている企業の半数は「請求書などの電子ワークフロー」「見積書・請求書発行システム」を導入していることがわかりました。

一方、ペーパーレス化のシステムを導入していない企業は全体の40%ですが、そのうちの83%がペーパーレス化を予定・検討していないと回答しています。

※参考:東京の企業の36%が2020年度予算で ペーパーレス化システム導入費用を計上の運び|ペーパーロジック

【事業者向け】請求書の原本を電子化する際のポイント

自社のペーパーレス化に伴い、発行する請求書なども電子化を進めるケースが増えています。しかし、請求書の原本を電子化する場合、不正が起きないように注意しなければなりません。ここでは、請求書の原本を電子化する際のポイントを解説します。

改ざんできないフォーマットを使用する

改ざんが難しいフォーマットで請求書を作成することが重要です。エクセルなどで作成した請求書をそのまま送ってしまうと改ざんされるおそれがあります。そのため、PDFなど改ざんしにくいフォーマットに変換して送付しましょう。

ただし、請求書をPDFで保存、管理するには電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。請求書管理システムを利用する場合も、電子帳簿保存法の要件に対応しているか確認が必要です。

押印の有無について確認する

請求書への押印は法的な拘束力がなく、日本で慣習化されたハンコ文化の名残です。しかし、改ざんを防止する役目を果たしてきたことに違いはありません。電子化された請求書であっても押印義務はありませんが、相手先が信憑性や信頼性のために押印を求めるのであれば、要望に応えるようにしましょう。その際には、電子印鑑の利用も有効です。

相手先が、紙ベースの請求書を求める場合は、データで作成した請求書を印刷してから押印し、再度スキャナーで電子化しなければなりません。請求書に限らず、自社と取引先における書類の受け渡しを円滑且つ効率的にするために業務のやり方を変える場合は、事前に相手先と話し合い、いつからどのような方法にするのかを取り決めることが大切です。

電子化した請求書にはパスワードを設定する

電子化した請求書を送る際は、情報漏れや機密保持などの観点からパスワードを設定して送ることが望ましいでしょう。パスワードを設定していれば、万が一送信先を間違えた場合でも、請求書の内容を見られることはありません。例えば、以下のようなパスワードの設定が必要です。

・文章を開くためのパスワード
・編集権限を与えるパスワード
・添付ファイルを開くためのパスワード

請求書の送付件数が多い場合は、パスワードの設定に手間がかかります。しかし、請求書発行システムを使うと簡単にパスワードの設定が可能になるため、業務を効率化したい場合は導入を検討しましょう。

原本が必要か取引先に確認する

法改正されたからといって、紙の請求書が無くなったわけではありません。取引先によっては、紙の請求書原本の提出を求められる場合もあるでしょう。一方的に電子データのやり取りに切り替えると、取引先に負担を強いかねません。紙の請求書原本が必要か否かを事前に確認しましょう。

請求書の原本を電子データで保存する際の注意点

請求書の原本を電子データで保存する際の注意点について、解説します。

社内規定を見直す

請求書には、取引先の企業名や金額、口座情報など重要な情報が含まれています。電子化する際には、情報漏洩のリスクを下げるセキュリティ対策が欠かせません。事務処理フローを明確化し、社内規程の見直しを図りましょう。社内規定を実務に適合させるために、従業員教育や研修を積極的に実施することが重要です。

法改正への対応に備える

請求書を含め、証憑書類は定期的な法改正の対象となることが多く、とくに近年は電子化・ペーパーレス化に向けた法改正が何度も行われています。法改正により、請求書に関するルールが変更されることも考えられます。法改正にスムーズに対応するために、自社の現状を日頃から分析しておきましょう。

原本の保存期間や保存要件などに関する法律を把握する

前述のとおり、紙、電子データを問わず、請求書は個人事業主は5年間、法人の場合は7年間の税法で定められた保存期間があります。また、請求書を電子データで保存するにあたり、「真実性」と「可視性」を確保しなければなりません。電子取引の保存要件に対応した保存方法を検討しましょう。

「真実性の確保」は、下記のいずれかを満たす必要があります。

・タイムスタンプが付与された取引情報を受領する

・取引情報の受領後、速やかにタイムスタンプを付与するとともに、保存の実行者または監視者に関する情報を確認できる環境を整える

・訂正や削除を確認できるシステム、もしくは訂正や削除をできないようにするシステムで取引情報の受領および保存をおこなう

・訂正や削除の防止に関する事務処理規定を定め、それに沿った運用をおこなう

「可視性の確保」は、下記のすべてを満たす必要があります。

・保存しているデータをいつでも速やかに見られるように、操作用の機器やソフトウェア・ディスプレイ・プリンタなどの出力機器を操作説明書と一緒に整然とした形で備え付けておく

・システムの使い方がわかる書類を備え付けておく(システム概要書やシステム基本設計書など)

・検索機能(「日付」「取引金額」「取引先」での検索)を確保する

※参考:Ⅱ 適用要件【基本的事項】|国税庁

 

請求書原本の電子保存に関係する法律

請求書原本の電子保存に関わるおもな法律は、電子帳簿保存法とe-文書法です。

電子帳簿保存法は、国税に関連する帳簿や書類の電子保存について規定する法律です。これまで、原則紙媒体での保存が義務付けられていた国税関係書類を、「電子データ保存」ができるようにした法律です。

e-文書法とは、証券や医療、保険関係の書類を保存する場合に、保管が義務付けられている法定文書の電子保存を認める法律です。e-文書法をきっかけに、電子帳簿保存法も改正されました。

請求書の原本をPDF化するメリット・デメリット

請求書の原本を電子化する場合は、多くのメリットがあります。印刷、封入などの作業負荷が減り、業務の効率化などが図れます。反面、デメリットが生じる場合もあるでしょう。ここでは、そのメリットとデメリットについて解説します。

メリット

請求書を電子化すれば、請求する側のメリットだけでなく、相手先にもメリットがあります。請求する側のメリットは、次のようなものが代表的です。

・請求書発行するスピードアップが可能
・押印・封入・宛名書き・投函などの作業が省け効率がよくなる
・印刷費や郵送費を削減できる
・書類到着までのタイムラグがなくなる
・物理的な保存スペースを確保しなくてよい

相手先も請求書の到着を待たなくて済み、ペーパーレス化につながります。請求側と同じく物理的な保存スペースも不要です。

デメリット

請求書を電子化するデメリットは、システム導入や利用のためのコストや、業務フローの見直しのコストなどが発生することです。また、紙ベースでの請求書を求めてくる相手先には個別に対応する必要があります。

しかし、書類の電子化は政府が進める施策でもあり、多くの企業が導入を進めているため、電子化を止めることは時流に逆行することになります。長期的に見れば、コストの面でもメリットが多いといえるでしょう。

請求書の原本をPDF化する方法

請求書の原本をPDF化する方法として、紙の請求書をスキャンしたり、電子請求書発行システムを活用したりする手法が挙げられます。ここでは、3つの方法を解説します。

WordやExcelで作成したデータを変換する

WordやExcelで作成した請求書は、そのままでは改ざんの危険性があるため、保存の際にはPDF化しなければなりません。WordやExcelで請求書を作成した後「名前を付けて保存」をクリックし、メニューからPDF形式を選択します。特別なツールを使うことなく、PDFファイルに変換可能です。

紙の請求書をスキャンする

紙の請求書は、スキャナーでスキャンしてPDF形式で電子データ化しましょう。スキャンしたデータを送付する際には、適切な電子署名の付与やタイムスタンプの付与、一定の保管期間の確保など、取引先のシステムが電子データの保存要件を満たしているかどうかを確認しましょう。

電子請求書発行システムを活用する

電子請求書発行システムは、請求書の作成や送付、入金確認といった関連業務を一元管理できるシステムです。このシステムを活用することで、請求書のPDF形式での生成、発行、送付を一元管理で行えます。自社の業務がどれだけ効率化されるか、費用対効果を評価したうえで導入するシステムを選定しましょう。

まとめ

紙の請求書には、定められた年数の保存義務があり、原本での保存が義務付けられています。しかし、電子帳簿保存法の要件を満たしたうえで電子化したデータを保存すれば、紙ベースの請求書は破棄することも可能です。請求書などの書類を電子化することは、ペーパーレス化を進めるうえでも重要といえます。

クラウド型請求管理サービス「MakeLeaps(メイクリープス)」は、クラウド型の請求管理サービスで、請求書発行の課題である郵送作業の負荷軽減やミスの削減が可能です。請求書をはじめとする各種書類の作成、発行業務の効率化を検討している場合は、まずは無料の製品紹介資料をご覧ください。

サービス紹介資料をダウンロードする(無料)

無料資料をダウンロード 無料デモ依頼